手を叩いたり、ステップを踏んだりしながら、声を張り上げ、全身全霊で歌う・・・「ゴスペル」には、聴いているだけで前向き気持ちになれる、不思議な力があるような気がします。

ゴスペルとは何か、その魅力を、ニューヨーク・ゴスペル・ブラザーズの音楽監督 フィリップ・L.ボイキン氏のメッセージとともにご紹介します。

 

★「ゴスペル」とは—

「ゴスペル」とは、Good News(良い知らせ)あるいはGlad tidings(うれしい便り)という古い英語“God-Spell”から派生した言葉です。ゴスペルとは救世主の到来、つまりイエス・キリストがこの世に遣わされその死により我々の罪があがなわれる事を告げるものなのです。
音楽は文化の違いをも乗り越える、世界共通の言語です。私たちの音楽が、皆様の心と魂に届くよう願っています。
(フィリップ・L.ボイキン氏のメッセージより)

アメリカの建国とともに始まった奴隷制度は、人類の最も悲惨な歴史である一方で、アフリカのリズムと西洋の文化が出会うことにより、新しいスタイルの音楽を生み出すきっかけともなりました。南部アメリカの灼熱の太陽のもと、過酷な労働条件で働かされていた奴隷たちにとって、唯一の娯楽といえば、祖国アフリカのリズムに乗せて、新世界アメリカの様子をみんなで歌うことでした。綿花農園での黒人の労働歌などは、のちのブルース、ジャズの誕生へとつながってゆきます。

一方、彼らは、時に強制的にではありましたが、プロテスタントに改宗し、旧約聖書に出会います。そこに描かれているエジプトのユダヤ人の辿った運命に自身の悲運を重ね合わせて、奴隷の身分にある我々を救ってほしいという切実な願いを込めたり、天国により良き人生の可能性を求めた内容の霊歌を作り出してゆくのです。それらは奴隷たちの精神的支柱となるものでした。

★「ゴスペル」の魅力とは—

ゴスペルの魅力は色々あると思いますが、ニューヨーク・ゴスペル・ブラザーズの公演に関してお答えすると、まずは、ブローウェイで活躍する歌手たちのパワフルな声と美しいハーモニーを純粋に楽しんでいただきたいと思います。
また、クラシックの音楽会と違い、手拍子をしたり一緒に歌ったり、あるいは踊ったり・・・と皆様に是非聴くだけではない音楽体験をしていただければと思います。
また、我々の公演の場合、ゴスペルのみを演奏するのではなく、アメリカにおける黒人音楽の歴史を感じられるようなプログラムになっています。コンサートではその点も楽しんでいただければと考えております。
(フィリップ・L.ボイキン氏のメッセージより)

霊歌には2つのスタイルがあります。1つは「シャウツ」あるいは「ジュビリーズ」と呼ばれるアップ・テンポのもので、“コール・アンド・レスポンス”、つまりリーダーの呼びかけにコーラスが応えていく対話形式で進んで行きます。

もう1つの、スロー・テンポで祈るように歌われるスタイルのものは、ソロ・ヴォーカリストがコーラスと共に歌います。19世紀に入って、黒人が田舎から都市へと移住するようになると、音楽の世界にも変化が訪れます。

例えばカントリー・ブルースがシティ・ブルースへと変わっていったように。そして霊歌も、シンプルな無伴奏スタイルから、伴奏楽器を使用したアクティブなゴスペルへと発展してゆくのです。

ちなみに、旧約聖書の影響を強く受ける霊歌に対して、ゴスペルは新約聖書を参照しているものが多くみられます。このゴスペルの登場こそ、20世紀のアメリカ音楽のみならず、世界のポピュラー音楽に大きな影響を与えるのです。R&B、ソウル・ミュージック、そしてロックもすべて黒人霊歌から派生し、ゴスペルを経由して次第に発展していったアメリカン・ミュージックの形なのです。

★「ゴスペル」を楽しむために—

音楽堂の至近距離で、ブロードウェイで活躍する歌手たちの迫力ある、そして美しいハーモニーを体感できることは、最高の贅沢ではないでしょうか?

もしかしたら・・・白銀の世界を背景に熱いステージが繰り広げられるかもしれません!

コンサート中には、お客様も一緒に歌っていただける場面がご用意されているようです。ゴスペルは初めてという方も、ご参加いただくことによって、その楽しさを一層味わっていただけるコンサートになることでしょう。

◆フィリップ・L.ボイキン氏からのメッセージ動画はこちら


◆CONCERT INFORMATION
2018年12月22日(土)
ニューヨーク・ゴスペル・ブラザーズ クリスマス・コンサート
コンサート詳細はこちら


お問い合わせ:八ヶ岳高原ロッジ 電話:0267-98-2131